OFFICINE UNIVERSELLE BULYの顧客体験から考える、「世界観で届けるブランドづくり」
OFFICINE UNIVERSELLE BULY(以下、ビュリー)は、19世紀の薬局文化から着想を得たクラシカルな美意識を土台に、香水・ボディケア・ヘアケア・フレグランスなど日常に寄り添うアイテムを展開するフランス発のブランドです。非日常の雰囲気をまといながらも、暮らしの中でしっかり役立つ点が支持されています。
重厚感のあるボトルやタイポグラフィ、落ち着いた色合いのパッケージなど、クラシックでありながら、毎日の生活の中で自然と使えるバランスが魅力のブランドです。
そんなビュリーの世界観を、私はまず香りから知ることになりました。
OFFICINE UNIVERSELLE BULYとの出会い
私がビュリーを知ったきっかけは、行きつけの美容院です。ある日、仕上げに使ってもらったオイルが、強すぎないのに、ふとした瞬間に思い出すような香りで、どこのブランドのものか美容師さんに尋ねました。
「ビュリーのボディオイルを、ヘアオイルとして使っているんですよ。」
それが、ビュリーとの最初の出会いです。
朝の支度、その仕上げに香りを纏う。深呼吸したくなるような心地よさが、慌ただしい心をふっと整えてくれます。そこに在るだけで美しいボトルデザインも相まって、このオイルを手に取る瞬間が、私にとって日々のささやかな楽しみになりました。
天神大丸の店舗で感じた「選ぶ時間」の体験
そして私は、大切な人へのギフトを探すタイミングで、天神大丸の店舗を訪れました。
パサージュ広場にある店舗は、木の棚に整然と並ぶボトルやガラスの質感、落ち着いた光に包まれています。扉を開けた瞬間、いつもの買い物とは少し違う、別の場所に来たような感覚がありました。
ギフト選びで迷っていると、スタッフの方が丁寧に声をかけてくれました。贈る相手の性格や好み、使ってほしいシーンを聞きながら、オイルや香水を一つずつ試させてくれます。
「お休みの日にゆっくり過ごす時間に合うものをお探しでしたら、こちらは少し甘さもありつつ、最後は落ち着いた印象でまとまる香りです。」
「おうちで過ごすときや、近所に出かけるときなど、肩の力を抜いていたい場面に合わせやすいと思います。」
こちらが伝えた、休日に使ってほしいことや、香りが強すぎないものがよいといった条件だけでなく、相手がどんな一日を過ごしているかを想像しながら一緒に選んでくれているのが伝わってきました。商品そのものの説明だけでなく、どんな時間にこの香りがそっと添えられるかを、一緒に考えてくれる接客でした。
重厚感のある箱とボトルがつくる、所有するよろこび
購入したオイルや香水は、重厚感のあるデザインの箱におさめられて手渡しされます。落ち着いた色味の紙とプリントだけで、過度な装飾がなくても、きちんと選んだギフトという印象が伝わります。箱を開ける前から、渡す側の気持ちも少し背筋が伸びるような感覚がありました。
箱を開けると、クラシックな雰囲気のボトルが現れます。太めのラベルや特徴的な形は、洗面台や棚に置くだけで空間の印象を変えてくれます。ただのケア用品ではなく、生活の中に置いておきたくなる存在感があります。
そのなかでも、ビュリーと出会うきっかけとなったボディオイルは、今でも私がくり返し購入しているアイテムです。香りに飽きがこないことに加えて、使い終わった空きボトルもすぐには捨てられません。シェルフに並べるとインテリアとしても違和感がなく、目に入るたびにビュリーの存在や、その香りと過ごした時間を思い出します。
香りだけでなく、どこに置かれているか、どう見えるかまで含めて丁寧にデザインされているからこそ、日常の景色の中で、ふと視界に入るたびにビュリーの存在を思い出すようになりました。
名前やメッセージが生む、「あの人のための一本」
ギフトを選んでいたなかで印象に残っているのが、ギフトボックスやカードに名前やメッセージを書いてくれるサービスです。
贈る相手の名前や一言メッセージを、その場で美しい文字で書いてくれるだけで、特定の相手のための一箱に変わります。贈る側にとっても、これなら喜んでもらえると思えるからこそ、渡す瞬間までわくわくした気持ちにさせてくれます。
ギフトを選んでいたなかで印象に残っているのが、ギフトボックスやカードに名前やメッセージを書いてくれるサービスです。ほんの一行のメッセージや、相手の名前が加わるだけで、そのギフトはお店で買ったものから、その人のために選んだ一本へと意味づけが変わります。
名前やメッセージという小さな要素が、贈る側・贈られる側のどちらにとっても、体験全体の印象を大きく変えてしまう。そのことを強く実感した出来事でした。
体験を通して見えた、ビュリーの「世界観のつくり方」
ここまでの体験をあらためて振り返ると、ビュリーが大切にしていることが、いくつかのポイントとして見えてきます。
・空間全体で世界観を伝えている
内装、什器、ボトルの並び方、光のトーンまで、一つの世界観に沿って統一されています。
・選ぶ時間が心地よく設計されている
接客のテンポや香りの試し方など、迷う時間も含めてストレスなく選べるようになっています。
・プロダクトとパッケージが体験を延長している
自宅に持ち帰ってからも、ボトルや箱が視界に入るたびにブランドを想起させます。
・パーソナライズで体験が自分ごとになる
名前やメッセージが加わることで、贈り物が「誰かのための一本」として記憶に残ります。
これらは、どれか一つだけが特別なのではなく、店に入る前にふくらむ期待から、店内で香りを選ぶ時間、自宅でボトルと過ごす日常、そして名前の入った箱を手にする瞬間までが、ひとつながりの体験として続いているのだと感じました。
ブランドの印象は、ロゴマークやパッケージだけで決まるものではありません。空間、言葉、所作、香り、そして小さな一言のメッセージまで、そうした細部の積み重ねによって、このブランドらしさが静かに形づくられていきます。ビュリーでの体験は、世界観で届けるブランドづくりとは何かを、身体感覚として教えてくれる時間でした。






