「ただぁ!」というフレーズを、テレビやSNSで聞いたことがありますか。これを生み出したのは、霜降り明星の粗品さんです。粗品さんのYouTube企画『1人賛否』から、この言葉は生まれました。私も粗品さんが好きなので、毎週楽しみに見ていました。
なぜ1人賛否を終わらせたのか
1人賛否とは、その週にネットで話題になったニュースを取り上げ、賛成と反対の両方から粗品さんが意見を伝える企画です。発想が斬新で、SNSでもどんな話題を取り上げるのか楽しみにしているという声もたくさんありました。
しかし、2026年4月に投稿された動画で、粗品さんは1人賛否を終了すると発表しました。理由については「自分のステージが1つ上がったから」と説明していましたが、私は最初、「なぜ人気のある今、終わらせるのだろう」と感じました。毎週楽しみにしていたからこそ、これからも続けてほしいと思ったのを覚えています。
粗品が手放したのは自分らしさではなく一つの表現だった

粗品さんは終了発表の動画内で、「素人には簡単に真似できないプロの技術が光るネタや、やっぱり粗品の発言はおもしろいなと思わせるような新しいお笑いに進化していきたい」と語っていました。
また『粗品のロケ』の動画では、「1人賛否で毒舌のイメージをつくれたことで、今後は人を褒めたときにも、本心なのか、いじっているのかと二重に受け取られるキャラクターに広げられる」という内容を話していました。企画終了は、次のキャラクターへ進む区切りともいえるのかもしれません。人気企画を自分から終わらせるのは、もったいないようにも感じますが、ここに今回の記事で考えたいポイントがあります。
粗品さんにとって1人賛否は、自分のおもしろさを世の中に伝えるための一つの表現だったのではないでしょうか。企画を終えても、新しい笑いを生み出そうとする姿勢は変わっていないように感じます。変えたのは自分自身の核ではなく、その価値を届けるための表現だったのかもしれません。私は、この考え方が企業のリブランディングにも通じるのではないかと感じました。
企業にも、ロゴマークやWebサイト、広告、SNSなど、ブランドの価値を届けるためのさまざまな表現があります。こうした表現は時代やターゲットに合わせて変えることができますが、その前に、何を変えずに残すのかを考えることが大切です。
見た目を変える前に、失いたくない価値を考える
粗品さんの場合、核にあるのは、新しい笑いを生み出そうとする姿勢や、独自の鋭い着眼点だと思います。一方、1人賛否は、その価値を世の中へ届ける一つのフォーマットでした。
企業のリブランディングでも、考え方は同じではないでしょうか。今っぽくしようと、ブランドの核を見失ったまま見せ方だけを変えてしまえば、これまで築き上げてきた歴史や、顧客からの信頼感を失うことにつながりかねません。
だからこそ、どう新しく見せるかを考える前に、まず企業側で、どこが評価されているのかや、これからも失いたくない価値は何かを整理することが必要だと感じました。
たとえば、過去のSwings記事で紹介されていたBurberryのロゴマークの変遷も、これと同じ考え方だと思います。長年愛されてきたブランドの歴史や品格といった核は残しながら、時代に合わせてロゴマークのデザインをアップデートしていました。すべてを変えるのではなく、残すものを持ったうえで見せ方を変える。粗品さんの1人賛否から考えたことと、共通する部分があるように感じます。
変わるために、変えないものを持つ

1人賛否を手放した後も、粗品さんは『ツッコミスター』や『よしもと粗品劇場』など、新しい形で活動を広げています。表現は変わっても、彼らしい笑いや、新しいことに挑戦する姿勢は変わっていないように感じます。これまで私は、リブランディングというと新しくすることに意識が向きがちでした。
粗品さんの姿を見て、変えることと同じくらい、残すものを考えることも大切なのだと感じます。リブランディングを考える際は、これまで大切にしてきたものにも目を向けてみてください。何を残し、何を変えるのか。その整理から、次のステージへ進むヒントが見つかるかもしれません。
サムネイル引用:USENの音楽情報サイト「encore(アンコール)」





