伝統的寒天メーカーと2人のデザイナーが作り上げた「南アルプス塩ようかん」

創業101年目。長野県・諏訪エリアで、創業以来変わらない製法で天然の糸寒天を作り続けてきた小笠原商店が、南アルプス近郊の素材を使い、101年目にして初の塩ようかん「南アルプス塩ようかん」を発売しました。

初の塩ようかんを発売

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寒天作りで 160 年以上の歴史を持つ、長野県・諏訪地域。凍てつく冬の寒さを利用し、原料となる天草を煮溶かして、ところてん状にしたものを天日干しにし、伝統的な自然乾燥による製法が行われてきました。中でも、100年の歴史を持つ小笠原商店は、多くの寒天メーカーが工場での生産方式に切り替える中、創業時から変わらない冬場の自然乾燥による製法を守ってきた数少ない寒天業者です。

伝統的な製法による高品質な寒天は、日本各地の名和菓子店から、ようかんの原料として採用されているほどです。



地元の食材を生かし、ようかんを作る新しい試み

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糸寒天の歴史を知ってもらい、伝統製法による寒天の価値を向上させるべく、原材料メーカーから一歩前へ出るという新たなチャレンジです。天然素材の糸寒天。長野県大鹿村で採れる山塩を使い、職人が一つ一つ手作りで作っています。同封されている希少な大鹿村の天然塩を、ようかんの上に一つまみ振りかけていただくことで、塩ようかんとしての味をより⼀層味わうことができます。



移住した2人のデザイナーとの出会い


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商品開発に取り組んだのは、小笠原商店創業の地である富士見町へ移住し、地域活性化に取り組む2人のデザイナー。富士見町にあるコワーキングスペース「富士見 森のオフィス」を運営する、Route Design代表でサービス・体験デザイナーの津田 賀央さんと、地域おこし協力隊として森のオフィスの運営スタッフを務めながらプロダクトデザイナーでもある松田 裕多さんです。

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「富士見 森のオフィス」を拠点に、移住促進や地域の仕事づくりを行う中、小笠原商店の専務である小笠原義雄さんと出会い、意気投合。構想から3年経ってもなかなか進まずにいた商品企画が「伝統を守りながらこれまでにない新しい商品を作りたい」という思いと「地元発の商品を手掛けながら新しい文化を発信したい」という両者の思いが重なり、実現に至ったといいます。



開けやすさ、共有しやすさにこだわったパッケージ


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南アルプスをイメージした留紺の箱には、富士見町の白樺を使った木包丁を同封。木箱の上蓋はようかんを置くまな板として使用でき、アルミパッケージは手を汚さず開封できる処理がされています。また、ようかんを楽しんだ後も、木箱は様々な用途で活用することができる仕様に。

また、封入品のほとんどは諏訪エリアや長野県内で作られているため、周辺の業者への仕事にもつながっているのだといいます。

蓼科や八ヶ岳、南信州へ頻繁に訪れる方々にとって、新しい名菓の1つになるだけでなく、地元地域の伝統産業と材料を使った商品のデザインを通じて、地域に新しい文化を作り出そうとするこのプロジェクト。

地元の伝統的な企業と移住者による新しい発想が生んだ、新たな好事例となることは間違いなさそうです。

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