時間の経過とともに人と場所に馴染んでいく真鍮ブランド「FUTAGAMI」

1897年(明治30年)創業の真鍮の鋳物メーカー「二上」が立ち上げたブランド「FUTAGAMI(フタガミ)」。

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日本における銅器の生産額の約95%を占め、伝統工芸である高岡銅器の産地、富山県高岡市。その地に、明治30年に創業したのが真鍮の鋳物メーカー「二上」です。創業当時は、仏具の輪灯をメインに製作していたといいます。

しかし、マンションなどの住居形態やライフスタイルの変化により、輪灯はしだいに一般家庭での需要が減少していき、時代の流れとともに変革を迫られたのです。社長の二上 利博さんはそのことに危機感を覚え、仏具に代わる「自ら発信できる何か新しいこと」を生み出すのに頭を抱えていました。

そんな時に出会ったのが、手工業デザイナーの大治 将典さん。二上が長年培った技術と、大治 将典さんのデザインが合わさり、真鍮製の生活用品のブランド「FUTAGAMI(フタガミ)」が2009年に立ち上げられました。

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従来、研磨して仕上げるのが常だった真鍮の商品。しかし、FUTAGAMIの製品は、表面の磨きやメッキ、塗装を施さず、砂型から出したままの鋳肌を生かしているのが特長です。そのことにより、時間とともに渋く、味わいのある質感へと変化していきます。

素朴な美しさが映える

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そんなFUTAGAMIからいくつか商品をご紹介します。まずこちらは、「宇宙」をモチーフにした鍋敷き。表面のザラッとした鋳肌の砂目の跡が月のクレーターのように見える「月」。光を受けて変化する放射状の凹凸の色味が魅力的な「太陽」。コンパクトで扱いやすかわいらしい「星」、そして大きな鍋を置くのにも便利な「銀河」の4種類。

持ち上げやすさや熱の逃げやすさなどの利便性も追求されているうえに、使わない時は壁にかけておいてもサマになるデザインになっています。

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「大」「中」「小」の3サイズがそろった「文具トレイ」。シンプルな形で平らな部分が多いので、鋳肌の柔らかな風合いと優雅な光沢が際立って見えます。3つそろえても収まりがいいのがうれしいですね。

このように現代の暮らしに馴染みながらも、時間が経過するごとにアンティークのように味わいが増していく「FUTAGAMI」の商品。宝物のように後世に受け継がれていくアイテムになるはずです。

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