プロジェクトを成功に導くための土台作り
観光庁さまより事務局業務を委託されているNTTコミュニケーションズさまの社内にお邪魔させていただき、ワークショップを開催いたしました。ここでは、意識共有とチーム作りという観点から、ブレインストーミングを行います。
ブレインストーミングでは、「すぐに判断や結論を出さない」「質にこだわりすぎず量を重視する」「出たアイデアに対しては批判(否定)をしない」「アイデアを一つにまとめる」ことで、複数の人でディスカッションする際に、先入観にとらわれずに新しいアイデアや改善策を引き出すことができます。
上記をもとに、観光DXについて共通認識を持つため、個人の定義を出し合いました。「観光とは」「DXとは」について意見交換をし、最終的に観光DXとは、「デジタル技術の活用でよりよく、よりよい旅にするもの」と、共通の認識をつけていきました。
ワークショップの終盤では、現在の業務を振り返り、ブラッシュアップするためのフレームワークを行います。「Keep(できたこと/継続すること)」「Problem(改善するべき問題点)」「Try(挑戦したいこと)」のKPT、3つの要素を時間内に書き出し、プロジェクトの改善につながる具体的な施策・アクションを導き出していきます。
今回行ったKPTの書き出しでは、 Keep「言葉の意味を深く知ること」「チームで一つの課題を完成させることができた」 Problem「より視点の違う意見が欲しい」「説明が難しい」 Try「言葉をビジュアルで表現する」「地域の方の意見を聞く」 など、目線の違うさまざまな意見が出ました。
情報からイメージへの変換
まずは、出てきたアイデアを否定することなくとにかく鉛筆でイメージを書き起こしていきます。たくさんの案を出し拡散させることによって、様々な視点やアイデアからより豊かなデザインへと発展していきます。
次にクライアントと定めた方向性を元に、鉛筆で書き起こしたラフ案をデジタルに起こしていきます。数が絞られてくると、大まかなビジュアルが見えてきますが、カラーバランスやディティール、引きで見た時に潰れる箇所がないかなど注意すべき点はより明確になっていきます。
また、暗めの背景上での使用も考え、ネガ版のロゴマークの制作などの状況によって、細かい調整を行います。
完成したロゴマークがこちらです。
「旅をもっと豊かに楽しく」というコンセプトをもとに、楽しさや豊かさを感じさせる丸みを帯びたシェイプ(形状)にしました。ワークショップの根源探索から観光=「国の光を観に行くこと」と定義し、ロゴマークでは光線や人々の脚を表しました。
断続的なシェイプ(形状)は、モールス信号をヒントにデジタルを現しています。シェイプとシェイプが重なった部分では、人と人が交差点を表現しつつ、観光DXで発展していく「地域の勢い」「スピード感」「成長」という願いを込めています。また、ロゴのカラーは日本の代表する観光地にオマージュされた色を選定し、観光DXの発展を象徴する配色にしました。こちらも、観光DXの目的である「旅をもっと豊かに楽しく」の実現に寄与しています。
「旅をもっと豊かに楽しく」から最適なデザインをご提案
ロゴマークのフィックス後はWebデザインの制作へ移ります。ロゴマークで表現されたイメージと込められた想いを崩さないようにしながら、より情報を伝える媒体として形にしていきます。今回はデザインの軸となるメインビジュアルを3パターン制作しました。
A案では旅のワクワク感とさらなる観光DXの可能性を、人物と観光地の写真で表現しています。実際にDXを取り入れた観光地や観光客が、DXによる変化を実感している様子を伝えるために流動的なモチーフで表しました。
B案ではいまあるものとデジタルの融合を表現しています。旅人の視線の先にある観光地が、DXを通して新たなものに進化していくことで、新たな知識・視線が広がり、同時にワクワクや親しみが湧き、観光DXの取り組みがより身近な存在と感じられるようにデザインしました。
C案では楽しさや豊かさが広がっていく過程を表現しています。断続的な形状でデジタルを表し、その躍動的な形は観光客の動きや脚、勢いを感じさせます。斜線はシャープな印象を与え、DXの取り組みで地域や旅が豊かになることを表現しました。
どの案も好評を頂きましたが、インパクトや旅の楽しさ、DXへの取り組みのビジュアルでの表現が頭に残りやすいとのことで、A案を採用していただきました。
事業の取り組みに対してさらに強い関心を
リリース時点で情報公開が決定していた14の観光地の事業を、サイト上でどのように展開していくかを検討していきました。
各観光地への興味関心だけでなく、DXの取り組みにも興味を持ってもらうためには、まずはサイトに訪問したユーザーの印象に残る必要があります。そこで今回は、ひとつの情報から印象を与えることができるものとして、すべての観光地をロゴマークで表現することにしました。
情報を絞ることで、ユーザーが簡単に各観光地へのイメージを持つことができるようになります。
細部にまで情報を組み込む
各観光地のロゴマーク制作では、各観光地が持つ数多くの特徴をロゴというひとつの情報で表現しなければならないことが苦労した点でした。
まず各観光地の特徴や歴史などの情報収集からはじめ、集めた情報を整理していきました。その情報の中から、客観的な要素と主観的な要素のバランスを取るために、現在一般的に広く浸透している特徴と、各観光地が特に推しだしている特徴の二つの情報を組み合わせてそれぞれのロゴを構築していきました。
さらに、より簡単にユーザーの記憶に残るために、削ぎ落としたミニマルなデザインで視認性も高めていきました。
できあがった各観光地のロゴマークはカードタイプで一覧表示させることにしました。一覧性や更新性の高さを保つためと、ユーザーの興味関心をより強めるためです。さらにそれらのカードをサークル状に表現し、先進的な動きを加えることで、ワクワク感とDXのイメージをプラスしています。
成果報告会を成功へ導くために
NTTコミュニケーションズ様が主催する、「観光DX」成果報告会” Next Tourism Summit 2023”の開催にあたり、、当日の現場の取り仕切り・スタッフの手配・運営全般から、会場の装飾・映像・投影資料・サインなど、トータルで携わらせていただきました。
成果報告会では、令和4年度に採択された実証事業(宿泊、交通、飲食、体験アクティビティ等のデータを収集・分析し、旅行者の利便性向上や観光地経営の高度化等の課題の解決に向けた実証事業)を通じて、事業者の方々が直面した課題や解決のために用いた、デジタルツールの活用方法や分析結果等の報告、幅広い見識を持つゲスト登壇者によるトークセッション等が行われました。
オンラインとオフラインで並行して開催いたしましたが、集客のためのプロモーション活動から、詳細を記載したサイン(案内)の作成など、参加者の方々がスムーズにアクセスするための導線づくりも行いました。
以下の写真は当日の会場の様子です。
観光DXとはなにかを直感的に伝える動画を制作
映像では、大きい画面で見ることと動きをつけることを想定しつつ、ラフを制作いたしました。ラフでは、リズムをつけ、より具体的なイメージを緻密に描き出していくことで、より映像を洗練されたものに仕上げていきます。
完成した動画では、「観光DXとは、観光がより身近で、より楽しく、よりスマートになる。テクノロジーの力で、観光がより充実したものになる。」という意味を直感的に伝えられるように制作いたしました。観光DXの意味を汲み取ってもらえるよう、人とデジタルというようなシンプルな素材を利用し、動きの面では帯のような線を用いることで繋がりを表現いたしました。
YouTubeで成果報告会のアーカイブの視聴もできますので、ぜひご覧ください。
プロジェクトのコーチングと当日のファシリテーションに携わる
弊社代表が観光DXプロジェクトのコーチングを行わせていただいたため、イベント当日はファシリテーターとして登壇させていただきました。参加者の方々により良いトーク内容を円滑にお届けするために、登壇メンバーの発言を促しながら、重要なポイントを引き出しつつ、議論を広げ、合意形成をサポートさせていただきました。
当日は、多くの方々にご出席いただき、盛況な成果報告会となり、参加者の方々にも有意義な時間をお届けすることができました。
観光DXのさらなる発展のために
観光DXプロジェクトは、まだ始まりに過ぎません。さらなる観光の発展のためには、各観光地の方々へ「観光DXへの意識を向けていただく」こと、観光者の方々へ「観光DXの存在を伝える」ことが必要と考えられます。 私たちは、こうした新たな展開を追求し、観光DXのさらなる発展に貢献していきたいと考えています。