九州初上陸!国宝「鳥獣戯画」が今熱い。
ウサギやカエルなどの動物たちを面白おかしく擬人化し描かれた「鳥獣戯画」の特別展が九州国立博物館にて10月4日(火)から11月20日(日)まで開催されています。
国宝「鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)」
普段の生活の中で、動物が人間のような振る舞いをするのを見たことがありますか?
例えばジブリ作品「平成狸合戦ぽんぽこ」では、二足歩行のタヌキが服を着て会話をします。
私たちはなんの違和感もなくそれを映画作品として観ていますが、日本で初めて動物を擬人化し描いたのは、平安時代のことだそうです。
平安時代に描かれた「日本最古の漫画」とも言われている鳥獣戯画は、墨線のみで動物たちを面白おかしく擬人化し描いた絵巻物のことを言います。
作者がどのような人物か分かっておらず、日本美術の中で最も謎の多い国宝だそうです。
動物は動物らしく、人間は人間らしく描かれた時代に、突然「動物を人間のように描く」という発想は、とても奇想天外ですね。
そんな鳥獣戯画には、「甲・乙・丙・丁」と呼ばれる全4巻があり、鳥獣が遊んでいる姿を描いた「甲」、動物生態図を描いた「乙」、人間の真似事をする姿を描いた「丙」、勝負事や行事などの人間社会を描いた「丁」と、それぞれにストーリーを持っています。
鳥獣たちの姿は、おどけて遊んでいたり喧嘩していたりと、見る人によってとらえ方が違うといった楽しみ方があるそうです。
高まり続ける人気
鳥獣戯画のあまりの人気っぷりに、2015年にはフィギュア化し身近なものになりました。コミカルな表情や動きが女性に絶大な人気を誇っており、オリジナルのストーリーを作ることができる「鳥獣戯画制作キット」というネット上のゲームも登場するなど、幅広い楽しみ方がみられます。
10月より放送が開始されたアニメ「戦国鳥獣戯画」では、6名の声優を起用し声を持たせ、動き出す鳥獣たちの姿を描くことにより、アニメーション作品として気軽に楽しむことができます。
“本物であること”
本展では平安時代に描かれたとされる「甲・乙」を前期(10月30日(日)まで)、鎌倉時代のもの「丙・丁」を後期(11月1日(火)から)とし、期間を分けてストーリー展開を楽しむことができます。
普段、京都市右京区の世界遺産である「高山寺」で一般公開しているものは、実はレプリカだそうです。しかし今回の特別展は、普段では決して見ることのできない原画が並んでいます。
鳥獣戯画は、2014年〜2015年に京都や東京でも展覧会が行われました。
東京での特別展では、8日目にして入場者が10万人を超え、待ち時間は最長で6時間といった大盛況っぷりだったそうです。
とどまることのない人気の秘密がどこに隠されているのか、気になりますね。今回の特別展でも九州初上陸とだけあって混雑が予想されています。
高山寺に大事に保管されている、普段決して見ることのできない“本物”の絵巻物が見られるまたとないチャンスです。
この機会に、鳥獣戯画の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
特別展 京都 高山寺と明恵上人
-特別公開 鳥獣戯画-
九州国立博物館 3階特別展示室(福岡県太宰府市石坂4-7-2)
会期 2016.10.4(火)〜11.20(日) 9:30~17:00
休館日 10.17(月) 10.31(月) 11.14(月)
一般 1,600円、 高大生 1,000円、 小中生 600円